育児をしていく中では、様々な悩みがあるものです。
赤ちゃんからどんどん成長していく中で、お子さんを甘えさせて
ばかりいるとワガママになってしまうのではないかと心配される
パパママも多いのではないでしょうか。
しかし、
- 甘えさせてあげること
- 甘やかす
ということは大きく違います。
まずは、その違いをしっかりと知っておきましょう。
さらに、自立心を育てるしつけのポイントもご紹介します。
ぜひ、お子さんとの接し方について考えてみましょう。
目次
甘えると甘やかしは違う!
一般的には、甘えという言葉はあまりいい意味で使われませんよね。
「あの人は甘えている。」
そう聞いたら、どんなイメージを持たれますか?
「自分でできることをしないで、相手の好意に寄りかかっている」
そんなマイナスなイメージを持たれるのではないでしょうか。
しかし、お子さんが健全に成長するために、甘えるということは
とても大切なことであり、欠かせないことです。
それにも関わらず、甘えるという言葉にマイナスのイメージが
持たれるのは、甘やかすということが混同されやすいからでしょう。
甘えと、甘やかしはとても似ていますが、全く違うことです。
まずは、そこが大きく違うことを理解しなければなりません。
お子さんの甘えを受け入れていては、お子さんがワガママに
なると甘えさえ許さないと、お子さんの心の発達に支障が
生じることもあります。
まずは、甘えと甘やかしの違いについて、しっかり理解しましょう。
甘えるは生まれつきの欲求
甘えるというのは、人が生まれつき持っている欲求の1つです。
お子さんの甘えというのは、パパママなどの愛情を求める行為と
言えます。
赤ちゃんは生後6ヶ月くらいを過ぎると、ママの姿が見えなくなると
泣き出したりし始めます。
はいはいなどができるようになっていれば、ママの姿を追って
ついてくる後追いなどの行動も見られます。
これは、赤ちゃんがママなど特定の養育者と結びつきたいという
欲求があり、これらの行動を愛着と呼びます。
この甘えるという行為をママが十分に受け止めてくれることで、
赤ちゃんは、お母さんは自分を守ってくれると安心できます。
安心できる場所があることで、赤ちゃんは次第におもちゃや
外の世界に興味を持ち始めます。
最初のうちは、すぐにママのところへ戻り安心しては、また
探索へということを繰り返しますが、そのうちママの姿が
なくても安心して過ごせるようになります。
保育園や幼稚園などに行き、楽しく過ごすことができるのも、
ママとの信頼関係が成り立っている証拠です。
ママがちゃんと迎えに来てくれるというつながりを感じる
ことができているからです。
小学校を目前にすると、そろそろ自立して欲しいと思うのが
親心です。
ママに十分に甘えられる関係を作っておくことで、お子さんは
他の人とも信頼関係を築くことができるようになり、自然と自立に
向かっていくので、心配ありません。
親が無制限に要求に応えるのは甘やかし
一方で甘やかしは、
- お子さんができることをパパママが先回りしてやってあげる
- 我慢すべき場面で我慢させない
こういったことが甘やかしです。
また、
- 自分で何かをしようとしているのに、時間がかかるからとパパママがやってしまう
- 公共の場で騒いでいるのに、パパママが注意をしない
などは甘やかしと言えるでしょう。
例えば、お子さんがお友達の持っているスコップを借りたい様子。
その時に、お子さんがなかなか貸してと言えないからと、パパママが
スコップを借りてしまうというのは甘やかしになるでしょう。
自分でなかなか言い出せないようであれば、一緒に貸してと
言ってみようというのが良いのではないでしょうか。
いきなり、自分でやりなさいというのは難しいことですが、
お子さんの要求に無制限に応えてしまうのは、甘やかしに
なってしまいます。
お子さんの気持ちに寄り添いながら、ある程度の制限や条件
などをつけて、自立に向かう行動の手助けをしてあげるのが
甘えさせてあげるということです。
自立心を育てるしつけ①「自分でやってみる」に慣れさせよう
甘えと甘やかしの違いについて理解したら、自立心を育てるしつけを
試みてみましょう。
まずは、自分でやってみるということに慣れさせることです。
お子さんも成長と共に自分でできることが増えてきます。
お子さんにとって難しそうなことや、時間がかかってしまうことは
パパママが手助けしてきたと思います。
朝出かける前などは特に、パパママが手伝った方が早いということも
あったと思います。
しかし、自分でできることがあるにも関わらず、パパママが
いつまでも手助けするというのは甘やかしになってしまいます。
お子さんの気持ちとしても、いつまでもパパママがやってくれる、
そう思い込んでしまいます。
人間は楽な方を選んでしまいがちですが、お子さんも楽な方に
流れてしまい、自分のことができなくなってしまう可能性も。
それまでパパママがやっていたことでも、お子さんができそうなことが
あれば、まずはやらせてみるという習慣をつけましょう。
お子さんも自分でやるというチャレンジになりますが、パパママに
とっても手を出さずにやらせてみるというチャレンジになるでしょう。
まだまだ時間がかかってしまうこともあるかもしれませんし、
思わず手伝ってあげたくなるかもしれません。
しかし、パパママも手伝いたい気持ち、急かしたい気持ちをグッと
堪えて、お子さんのペースを理解し、合わせてあげることがとても
重要になります。
自立心を育てるしつけ②厳しくし過ぎず!
お子さんを甘やかしてしまうと自立心が育たないと、厳しく接する
パパママもいると思います。
しかし、最初からすべて自分でやらなければならないと
厳しすぎるというのも良くありません。
お子さんはお子さんなりに一生懸命にやっていても、なかなか
できないこともたくさんあるでしょう。
そんな時に厳しくし過ぎてしまうと、お子さんは反抗的な気持ちが
強くなってしまうことがあります。
または、パパママの顔色をうかがいながら行動するようなお子さんに
なってしまいます。
自分でやらせる、そのチャレンジには、もしダメだったら、
できなかったらということを想定しておかなければなりません。
そして、一生懸命チャレンジしてもできなかったら、パパママと
一緒にやってみるというステップも必要なのです。
一生懸命やっていることに対して、できなかったことを叱ると
いうのはやめましょう。
自立心を育てるしつけ③人と違いがあってもいいことを確認
お子さんはその月齢、年齢でできることの目安はありますが、
実際にできるかどうかは大きな個人差があります。
そして、お子さんも成長と共に、自分と他の子を比べて、違いを
感じることが出てくると思います。
- 〇〇ちゃん、〇〇くんは、いいな。
- 〇〇ちゃん、〇〇くんがうらやましいな。
そういったことを言い出すこともあるかもしれません。
お子さんは何も考えずに、思ったことを簡単に口にします。
それは、自分ができないことに対する強い劣等感を感じている
というわけではありません。
他の子がうらやましいということで、パパママを責めている
というわけでもありません。
こういったことを、まずはしっかりと理解しておきましょう。
そして、お子さんが自分と他の人を比べていた場合は、パパママは
落ち着いて対応しましょう。
〇〇ちゃんや〇〇くんのお家とは少し違うね。
〇〇ちゃん、〇〇くんとあなたは好きな物も違うし、得意な
ことも違うから、こういう違いがあるのかもしれないね。
こういったように、人との違いがあっても良いのだということを
確認していきましょう。
こういったことを伝えることは、自分は自分という気持ちを育てて
いく大切なステップとなるでしょう。
自立心を育てるしつけ④年齢は関係ない!甘えは自然に消える
育児書や育児に関する雑誌を見ていると、〇歳までは甘えさせて
良いというアドバイスを見かけることもあるでしょう。
しかし、何歳まで甘えさせていいという定義、定説があるわけでは
ありません。
お子さんが成長するペース、自立するペースは、それぞれのお子さんに
よって違います。
なので、年齢はあまり気にする必要はありません。
お子さんは幼い頃から、パパママに十分に甘えることができていれば
情緒が安定しますので、自立が始まれば自然と過度な甘えというのは
消えていくでしょう。
パパママが育児書などに従って、〇歳になったから甘えさせない。
突然そう割り切り、お子さんが甘えることが許されなくなれば、
お子さんは自分のことが嫌いになってしまったのかもしれないと、
不安を感じてしまうかもしれません。
自立心を育てるしつけ⑤家族が互いを尊重し合う
お子さんの自立心を育てるためには、ご家庭の環境も大切です。
夫婦喧嘩が絶えないなど、家庭内の空気が緊張している中で
育ったお子さんというのは、うまく甘えられなくなるとも
言われています。
パパママに十分に甘えることで情緒も安定しますし、安心して
自立することができます。
一方甘えることができなければ、心が萎縮してしまいますので、
自ずと自立心が育たなくなってしまうのです。
お子さんが安心して自分の要望を言うことができるように、
家族がお互いの考えを尊重し合い、仲良く生活することも大切なのです。
自立心を育てる!甘えに対する対処法
お子さんの自立心を育てるには、甘やかしてはいけない。
それはわかっていても、お子さんが甘えてくることもあるでしょう。
お子さんが甘えてきた時には、どのように対処するのが良いのでしょうか。
甘えに対する対処法をご紹介します。
甘え?甘やかし?判断しづらい場合は?
甘えと甘やかしというのは別物ではあります。
しかし、甘えになるのか、甘やかしになるのか判断に迷って
しまうような出来事もあるでしょう。
例えば、いつもは自分で洋服を着替えることができる3歳の
お子さんが着替えを手伝って欲しいとダダをこねたとします。
お子さんはまだまだ甘えたい年頃です。
もしかしたら、パパママに甘えたくて主張をしているのかも
しれませんし、ただ単に自分で着替えをするのが面倒で
ダダをこねているのかもしれません。
このような時には、
- お子さんの性格や状況
- その時のお子さんの気持ち
などを考えて判断しましょう。
そして、迷ったらお子さんの要求を受け入れてあげるのも1つです。
甘やかしというのは、お子さんの要求に無制限に応えることです。
それが習慣になれば、お子さんの自立心に影響を与えることも。
しかし、1度2度お子さんの要求を受け入れたくらいで、
問題が生じるわけではありません。
いつも頑張っているお子さんですので、たまにはお子さんを
甘えさせてあげるのも良いでしょう。
抱っこをせがまれたら?
お子さんは何歳になっても、パパママとの触れ合いが心地よいもの。
例えば、5歳になったお子さんが抱っこをせがんできたとします。
5歳となると、もう小学校も目前。
パパママの言っていることも理解できますし、もちろんしっかり
自分で歩くこともできる年齢です。
だからといってお子さんに、お兄ちゃんなんだから歩きなさい、
そう突き放してしまうのは少しかわいそうな気もします。
そのような時には、お子さんの視点を変えてあげてあげると
良いかもしれません。
- 早く歩いて帰ると好きなテレビをやっているよ!
- 早く帰らないと買ったアイスが溶けちゃうよ!
このように少し他のことに気をそらしてみましょう。
そして、抱っこが我慢でき、頑張って歩いて帰ることができたら、
思い切りお子さんを褒めてあげましょう。
また、もっと小さな年齢のお子さんの場合であれば、
腰が痛いから、お家に帰ったら座って抱っこをしてあげるね!
など抱っこをできない理由を説明してあげると良いでしょう。
パパママが感情的に話すことで、お子さんの共感性が豊かになる
とも言われています。
お子さんの気持ちに出来るだけ寄り添ってあげながらも、
パパママも辛くならないように接し方を工夫すると良いでしょう。
妹・弟に嫉妬をして甘えてきたら?
妹や弟ができた時に、上のお子さんが赤ちゃん返りするというのを
聞いたことがあると思います。
例えば、妹や弟がミルクを飲んでいると、上の子も哺乳瓶でジュースを
飲みたがったり、離乳食を食べたがったり、妹や弟に嫉妬することが
あります。
そんな時には、できるだけ上の子の欲求を聞き入れてあげましょう。
哺乳瓶でジュースを飲んでも、離乳食を食べても何も問題はありませんよね。
下の子が生まれると、自ずと下の子のお世話に手がかかってしまうため、
上の子は疎外感を味わうため、嫉妬してしまうことが多いのです。
嫉妬から、上のお子さんが自分と下の子、どちらが好きか?などの
質問をしてくることもあるでしょう。
そんな時には上のお子さんだと答えてあげても良いのではないでしょうか。
下のお子さんはまだ言葉がわかりませんし、その回答で上のお子さんは
知的な欲求が満たされることになります。
また、下のお子さんのお世話に上のお子さんを巻き込むのも1つです。
そして、お手伝いをしてくれた上の子に、助かる、赤ちゃんに優しく
してくれることが嬉しいということを伝えてみましょう。
上の子も助かると言われれば、喜びを感じることができます。
こうして、家族みんなで下の子のお世話をすることで、上の子の
下の子への嫉妬も減っていくかもしれません。
パパママから離れず友達の輪の中に入れない時は?
お子さんと一緒にお友達の家に遊びに行った時に、他のお子さんは
お友達と楽しく遊んでいるのに、自分のお子さん1人だけべったり
甘えてきて、離れずにイライラするといったことも多く聞かれます。
お友達の輪の中に入って遊んで欲しいと思うこともあるでしょう。
しかし、お子さんのペースというのを尊重してあげましょう。
仲間に入るタイミングを見ているのかもしれません。
タイミングを見て、自分から行こうとしている時に、パパママから
強制されたり、叱られたりすると反発的な気持ちになってしまいます。
輪の中に入れなくても、甘えているように見えても、実はお子さんは
葛藤しているかもしれません。
すぐに輪の中に入れないからと言っても、それは一般的には叱る
べき時ではありません。
お子さんの自立心を育てるためには、時には見守ってあげることも
必要なのです。
家族や祖父母が甘やかす時は?
お子さんを甘やかさないように自分は注意していたとしても、
自分以外の人がお子さんを甘やかして困るというケースも多くあります。
それが、パパあるいはママと子育てをしているパートナーが甘やかして
しまうようであれば、家庭内でのルールを決めると良いでしょう。
家庭内であれば、足並みを揃える必要があるでしょう。
そうでなければ、お子さんも戸惑ってしまったり、パートナーに
甘えるようになってしまい、自立心がうまく育ちません。
また、おじいちゃん、おばあちゃんもお子さんを甘やかしてしまう
傾向があります。
しかし、おじいちゃん、おばあちゃんの場合は、孫のことを可愛がり
甘やかすのも仕方がないことでしょう。
その場合は、おじいちゃん、おばあちゃんがいる時は特別ということで
特別なルールがあるということを理解させると良いでしょう。
甘えと甘やかしは違うのを理解しよう!上手く対処して自立心を育てよう!
お子さんに自立して欲しいのに、お子さんを甘えさせてしまうと
ワガママに育ってしまい、いつまでも自立しないのではないかと
心配になるパパママもいるのではないでしょうか。
しかし、自立心を育てる前に、甘えと甘やかしは違うということを
理解しておかなければなりません。
甘えは、人が持って生まれた欲求の1つで、パパママなどの愛情を
求めることです。
この甘えをパパママが十分に受け入れることで、お子さんは安心
することができ、外の世界に興味を持つことができるのです。
そして、安心できる場があることで自立への第一歩を
踏み出すことができます。
一方で甘やかしは、お子さんの要求に無制限で応えることです。
自分でできることもパパママがやってしまったり、ワガママを
聞き入れてしまうことは、甘えさせてあげることとは違います。
まずは、そこの違いをしっかり理解しましょう。
自立心を育てるには、いくつかのポイントがあります。
- 自分でやってみるという習慣をつける
- 厳しくし過ぎない
- 人と違いがあってもいいことを確認する
- 年齢は関係ない
- 家族が互いを尊重し合う
これらのことが大きなポイントになります。
まずは、自分でやってみる習慣をつけるようにしましょう。
それまでは、パパママが手伝っていたことであっても、
自分でやってみるのです。
時間がかかることかもしれませんが、パパママも手助けしたい
気持ちをぐっと抑えて見守ることも大切です。
しかし、それができないからと言って、できないことを
叱ったり、厳しくし過ぎてしまうのはよくありません。
できなかったら、ということを想定して、できなければ
パパママと一緒にやってみるという次のステップも必要です。
叱られれば、お子さんは反発的な気持ちを持ちますし、
パパママの顔色をうかがって行動するようになってしまいます。
あくまでも、お子さんのペースに合わせてやってみるという
ことが大切です。
また、ある程度の年齢になると、人と比べるようになります。
自分とできることが違うことを感じたり、自分とは家の環境が
違うことを感じて、うらやましいなどの発言をするでしょう。
そんな時には、人と違うことがあってもいいのだということを
確認することで、自分は自分という気持ちが育ちます。
育児書などを見ると、甘えていいのは〇歳までなどと書かれて
いることがありますが、お子さんの成長はみな同じではありません。
個人差がありますので、年齢で考える必要はありません。
その年齢に達したから甘えを許さないとなれば、お子さんは
嫌われてしまったと不安な気持ちを抱くこともあります。
それよりも、幼い頃から十分に甘えさせてあげることで、
お子さんは安心感を得られますし、情緒も安定します。
そこから、自立を始めれば、過度な甘えは自然となくなっていく
ものですから、年齢はあまり気にしなくてもOKです。
お子さんのことを直接叱るというわけでなくても、夫婦喧嘩
などが絶えないなど、家庭の環境によってもお子さんの心の
育ち方は変わってきます。
緊張感のある空気の中で育ったお子さんは、心が萎縮するため、
自立心がうまく育たない場合もあります。
お子さんが安心して外の世界に出るためにも、家族がお互いに
尊重し合うような環境作りを心がけましょう。
お子さんが甘えるということは決して悪いことではありません。
十分に甘えさせてあげましょう。
しかし、お子さんが過度に甘えてくる場合には、お子さんの
気持ちに寄り添いながら、接し方を工夫してみましょう。
また、甘やかしというのは自分だけの問題ではありません。
一緒に育児を行なっているパートナーにも協力してもらわなければ
なりませんので、話し合ってルールを決めるなどしても良いでしょう。
甘えと甘やかしというのは似ているため、対応がとても難しいことでは
ありますが、ぜひパパママもお子さんと一緒にチャレンジしてみて下さいね!